白山
くらしについて

遺言・相続

相続をめぐるトラブル。

本人(被相続人)の死後、相続人間で、円満な話し合い(遺産分割協議)で遺産の分割を決めることが望ましいのですが、相続がきっかけで残された肉親同士が遺産をめぐって 争いになるケースも多く、これではやり切れません。

頭も体もしっかりしている生前に財産の行方を定めた遺言を作成することが、相続をめぐるトラブルを防ぐ有効な手段であり、残された家族に対する思いやりです。

適法な遺言は、トラブルを防ぐ有効な手段です。ただし、遺言は法律に基づいた書式、要件を満たしたものを細心の注意のもとに作成することが必要です。

何度も申し上げますが、遺言は頭も、体も元気なうちに作成することをお勧めします。相続をめぐるトラブルのうち、ちゃんとした遺言があれば、未然に防げたと思われるケースが現実に多くあるのです。

ぜひ、専門家にご相談下さい。

こんなときには、遺言は特に有効です。

○ 戸籍上だけの子に遺産を残したい。
○ 内縁の妻に遺産を残したい。
○ 親不孝の息子に遺産をやりたくない。
○ 相続人がいないので、死後財産を社会に役立てたい。
○ 生前よく面倒見てくれた人に財産を残したい。

など。

「相続は、死亡によって開始する」(民法第882条)。

一般的に、相続の方法は2つあります。
第1は被相続人が遺言で相続分を指定するやり方です(民法第902条)。
第2は遺言がない場合に法律の定めに従うやり方です(民法第900条)。

そして、遺言には次ぎの3種類がありますが、このどれかの書式を要件を満たしていないと法律上は遺言としての効力を発揮しません。

● 自筆証書遺言(民法第968条)

遺言の内容全部、日付、氏名をすべて自分で書き(自書)、印を押す。ワープロで書いたものはダメ。録音テープやビデオもダメ。

この方式は証人もいらず、もっとも簡便ですが、後で偽造、変造、隠匿、廃棄のおそれがあります。また、公正証書遺言以外の遺言は家庭裁判所の検認が必要です(民法第1004条)。

遺言書を保管している人は相続を開始したら、遅滞なく、その遺言書を家庭裁判所に提出しなければなりません。これを検認といいます。封印のある遺言書なら封のまま家庭裁判所に提出します。これに反すると、罰せられます(民法第1005条)。

この検認の手続きには、遺言者の戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本が必要です。

● 秘密証書遺言(民法第970条)

遺言内容を秘密にしたいときに用いる遺言です。自分で作成し、署名、捺印したものを持って、公証人役場に出向き、公証人と証人2人以上の前で封に入れ封印し、公証人に自己の遺言である旨を証明してもらいます。

● 公正証書遺言(民法第969条)

公証人役場で2人以上の証人の立会いのもと、遺言者が遺言内容を「口授」し、それを公証人が「筆記」し、筆記した内容を遺言者と証人に「読み聞かせ」た後、各人が「署名捺印」して作成します。「口授」は、前もって用意した文書を読み上げるやり方でもよい。言語障害を持つ人でも手話通訳など通訳を介して、公正証書遺言を作成することが可能です(民法第969条の2)。

この方式は、作成時すこし面倒ですが、確実で、後で変造されたり、破棄されたりの心配はありません。